日常のこと、アニメ感想、ネタなど。
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さてこのシリーズもここまで来て、また伊作受けに戻ってきましたvvさあ、伊作のチョコをゲットできるのは誰だ!?
伊作をめぐって雑渡さんと留三郎が戦う、という話を初めて読んだ時は、萌えたというか燃えたものです。満身創痍ながら百戦錬磨の雑渡さんと、破壊力抜群の武器を操る若き武闘派の留三郎。この二人のガチバトルは、そりゃあ燃えました。それなのにうちの二人は……なんでこんなんなんでしょうね……。
ところで、この前初めて気付きましたが、このテンプレ、文字サイズを変更出来ないんですね。知らなかった……orz
私にはこのサイズだと、長文読む時には辛いんです。一昨日のをアップしてから読みなおしてて、ちょっと辛かった><
どうしよう、テンプレ変えようかなあ。ある程度数がまとまったところで、Mainの方にアップしなおそうかとは思ってましたが、さっさとそうした方がいいかもしれない。
ともあれ、この文字サイズだと見づらいという方がいらっしゃったら、早急に手を打ちますのでご報告下さいませ。
それでは、気を取り直して。伊作は誰かさんに渡すため、チョコを用意してたらしいです。追記からどうぞ。
伊作をめぐって雑渡さんと留三郎が戦う、という話を初めて読んだ時は、萌えたというか燃えたものです。満身創痍ながら百戦錬磨の雑渡さんと、破壊力抜群の武器を操る若き武闘派の留三郎。この二人のガチバトルは、そりゃあ燃えました。それなのにうちの二人は……なんでこんなんなんでしょうね……。
ところで、この前初めて気付きましたが、このテンプレ、文字サイズを変更出来ないんですね。知らなかった……orz
私にはこのサイズだと、長文読む時には辛いんです。一昨日のをアップしてから読みなおしてて、ちょっと辛かった><
どうしよう、テンプレ変えようかなあ。ある程度数がまとまったところで、Mainの方にアップしなおそうかとは思ってましたが、さっさとそうした方がいいかもしれない。
ともあれ、この文字サイズだと見づらいという方がいらっしゃったら、早急に手を打ちますのでご報告下さいませ。
それでは、気を取り直して。伊作は誰かさんに渡すため、チョコを用意してたらしいです。追記からどうぞ。
俺は読んでいた本を閉じると、障子に目をやった。
夜はもうとっくに更けた。日没とともに委員会を終わらせ、食事を取って風呂に入って布団を敷き、あとは寝るだけ、なのだが、未だに同室者が帰って来ない。
まあ伊作の帰りが遅いのはいつものことだ。今日は医務室当番だと言っていたことだし。当番の時間はとうに終わっている筈だが、どうせまた医務室を閉める間際に飛び込んできた怪我人の手当てをしたり、ひっくり返した薬箪笥の片づけをしたりしているのだろう。
さほど心配はしていない。それならさっさと寝てしまえばいい。これまでだって、暇つぶしの本を読み終えた時や眠気に負けた時は、伊作を待たずにさっさと寝てしまったし、あいつもそれを何とも思っていない。
しかし。
しかし。今日の俺には眠れない訳があった。
俺は溜息を吐くと、本を文机に置いた。そしてそのまま視線を横にずらして行く。
普段、俺が使っている文机の隣には、ぴったり合わせて伊作の文机が置いてある。俺の視線は忍たまの友や図書室で借りた本などを辿り、正面というか、文机に向かって座れば、丁度まん前にあたる位置で止まる。
そこに大事そうに置かれた、緑色の包み。
中は木箱なのだろうか、角ばった四角を緑色の薄い紙で包んでいる。紙が貴重なこの時代、まっさらの紙など入手するのも大変だろうに。薄い緑色の美しい紙は、惜しげもなく箱を包む役目などに使われている。
そしてご丁寧に十字にかけられた飾り紐は、もっと濃い緑色を基調としている。まるで俺たちの制服のような色を。
丁寧に上品に整えられたその包みは、どう考えても贈り物だ。それも、相当気合が入っている。中身は知らないが、外の拵えを見ただけでそれが分かる。
……今日は14日。昨日までここにこの包みは無かった。おそらく、俺の目にも触れないところに隠してあったのだろう。俺は今日、部屋に帰ってきて初めて、この包みを目にした。
今日にあわせて用意されたこの贈り物。
中身はチョコレートであるとして、伊作は一体誰に、これを渡すつもりでいるのか。気にならない筈がない。
俺は何となく包みに向けて手を伸ばした。しかし指先が包み紙に触れようとしたところで、声がかかった。
「待った」
「……誰だっ!」
触れようとした指を慌てて引っ込めると同時に振り向く。この部屋には俺しかいなかった、それなのにいきなり背後から聞こえた声に驚きを隠せず後ろを見れば。
「君は伊作くんと同室で気の置けない仲らしいけど、だからといって、友達の持ち物に勝手に触るのは良くないんじゃないかなあ」
「貴様……っ!」
懐を探りかけた手を押し留めて構える。棒手裏剣の一本もあれば投げつけてやるのに、残念なことに夜着に隠し武器はない。
声をかけられるまで背後の存在に気付けなかった自分の迂闊さを呪いつつ、俺は部屋の中央に立つ黒装束を睨みつけた。
「それに、それはもうじき私のものになるのだし。だからやっぱり、君には触らないで欲しいなあ」
「んなわけあるかっ!」
あくまでものんびりした相手の口調に切れて、思わず叫んだ。
しかし、相手は百戦錬磨のプロ忍である。俺のツッコミなど意にも介さず、飄々と言葉を繋ぐ。
「どうして?もしかして、今日がバレンタインっていう日だって知らない?」
「そりゃ知ってるけどよっ!」
「この風習も、すっかり定着したからねえ。いい習しが根付いてくれたものだよ。おかげで、理由をこじつけなくても贈り物が出来る」
奴は懐から、何かの包みをちらりと見せた。
「伊作くんみたいな真面目な子だと、何か贈り物をしたくても、理由も無くいただけません、とか言って突っぱねそうだよね」
「当たり前だろ」
伊作が真面目だろうと真面目じゃなかろうと関係なく、敵の忍び組頭からそうほいほいと物をもらえる訳がないだろうが。
「そういうところも好きなんだけどね。でも、今日なら受け取ってくれるだろう。私が伊作くんにどんなチョコレートを贈ろうと、君にそれを阻む権利はない筈だよ」
確かに。確かにそうかもしれないが。
俺はこめかみを押さえて、キレそうになる自分を抑えた。落ち着け。こんな怪しいおっさんのペースに乗せられてはいけない。しっかりしろ。
俺は敵意を込めた目で睨みながらも、構えを解いた。居住まいを正して背筋を伸ばす。
「確かに、あんたが伊作に何を渡そうが、危険物でない限り、俺にそれを止める権利はねえ。でも、だからといって」
一瞬だけ、ちらりと伊作の文机を見る。視線を元にもどしながら、俺は余裕たっぷりに微笑んで見せた。
「だからといって、これがあんたに贈るチョコレートだとは限らねえ。俺にくれるのかもしれねえだろ」
きっぱりはっきりすっきりさっぱり言い切ってやったのに、奴はふふんと鼻を鳴らした。
「君にねえ。まあ、物事に絶対とは言い切れないけれど、それはかなりあり得ない話じゃないかな」
「何でだよ」
「包みを見れば分かることじゃないか」
部屋の中央に立つ黒装束は、余裕綽々、といった風情で目を細めてみせた。覆面を取れば口元は微笑んでいるのかもしれない。
「貴重品の紙を惜しげもなく使い、飾り紐まで掛けられている。とても上品で丁寧な拵えだね。こんなに丁寧にチョコを包むのは、渡す相手が年上とか目上だからじゃないかな」
「くっ……!」
それは俺も考えた。もし、伊作が俺にチョコレートをくれる気があるなら、こんな綺麗な紙を用意する金で、もっと沢山のチョコを買うんじゃなかろうか。それでお茶でも淹れながら「留三郎、一緒に食べようよ」と気軽に誘ってくるだろう。悔しくも奴の言う通り、俺と伊作は気の置けない仲だし、俺もあいつも甘いものが大好きだから。
だから、気の置けない俺に、こんな丁寧な包みを用意する可能性は低い。
「そして私は伊作くんより年上だし、社会的地位もあり目上だ。一介の忍たまからすれば、相当偉い存在だよね。その私に贈り物をしようというのだから、伊作くんは気を遣って、こんなに丁寧に仕上げてくれたんだろうね」
奴はその片方しかない目を、うっとり、という風情で細めた。
「伊作くんってば本当に可愛い。そんなに気を遣わなくても、君がくれるんなら、庭の小石でさえ嬉しいのにね」
小石どころが大岩を拾ってきてこいつにぶつけたい。その衝動を俺は辛うじてこらえた。
そう、相当にムカつく奴だが、こいつの言ってることは真実だ。確かにこの包みは俺あてじゃない。伊作が去年は誰にもチョコをあげてなかったことを考えれば、去年から今までの間に新しく知り合いになった、この人あてという可能性は大きい。
しかし。しかしだ。
伊作の気持ちのこもったチョコレートが、こんなストーカーまがいのおっさんの手に渡っていい筈が無い!可能性がどうであろうとも、断じてそんなことを許すものか!
「いーや、これは俺のために、伊作が用意してくれたんですよ」
伊作は俺が守る。俺は気持ちを立て直すと、黒装束に向けて口の端を吊り上げた。
「長らく気の置けない友達でしたからね。一歩進むにはきっかけってのがいるんですよ。バレンタインってのはいい機会だし、伊作としちゃあ気合を入れてこれを用意することで、覚悟を決めたんじゃないかな。俺と恋仲になる、という」
おっさんはうっとり気分に水をさされたのがよっぽど気に障ったのか、眉を寄せてこちらを睨みつけてくる。俺はわざと、さっきの真似をして、うっとり、と目を瞑ってみせた。
「莫迦な伊作。そんなに気合入れなくても、俺の返事は決まってるのになあ。でもそれに気付かないで、一所懸命になっちまうところが、伊作の可愛いとこだよな」
幸せそうにそう呟くと、ちらりとおっさんの方を見た。見れば苛立ちを隠そうともしないで、こちらをきっぱりと睨みつけてくる。
「何を阿呆なことを。この丁寧な拵えは、どう見たって君には似つかわしくないよ。私のような大人にこそ相応しい」
流石に一軍の忍び組頭、睨んでくれば迫力があった。しかし俺も負ける訳にはいかない。俺はずっと伊作の傍で、伊作を守ってきたんだ。例えこのチョコが俺のものでなかったとしても、こんなぽっと出のおっさんに伊作のチョコをやるのは、あまりにも悔しすぎる。
「俺のために心を込めたら、こんな風になったんですよ。あれで意外と凝り性なところがありますからね、あいつ」
「いーや、目上である私に相応しいチョコレートを渡すべく、伊作くんは心を砕いてくれたんだよ」
「どうだかね。あいつのことは俺が一番よく分かってんです。その俺が違うっつってんですから、違いますよ」
「いやどう考えてもこれは私のものだよ!」
「だから俺のだって言ってんだろ!」
俺は立ち上がると、雑渡昆奈門と睨み合った。視線で人を殺せるなら、お互い三度以上は死んだ筈だ。
しかしその睨み合いは、何の前触れもなく終息した。
廊下を歩く足音が聞こえて来たからだ。
ぱたぱたと緊張感のない足音。それは六年前から俺が聞き続けてきた音だった。
「ただいまー。あーもう今日はすっごい疲れたー」
珍しく愚痴とともに障子が開く。部屋に入ってきた伊作の姿を見て、俺は文机の前に腰を下ろした。
「こんばんは、伊作くん」
奴は何やら優しげな声で伊作を迎える。しかし伊作はそこでようやく、部屋の中の第三の存在に気付いたようで、その大きな目を何度か瞬かせた。
「あ、雑渡さん、いらしてたんですか。こんばんは」
「……おかえり。遅かったな」
その忍者らしからぬ反応に半ば呆れつつも、伊作は本当に疲れた様子だった。
「うん、今日は医務室が大繁盛でね。今までずっと忙しく……」
言いながら頭巾の結び目を解いていたのだが、急に声が途切れると同時に、手も止まってしまった。
どうしたのかと見やれば、伊作はその大きな目をまんまるに見開いて、何かを注視していた。
何を見ているのかと視線を辿れば。
伊作の文机の真ん中。座れば真正面に当たるその位置、に、置かれた包み。
「あーーーっ!!」
絶叫、と言っても過言じゃない大声で叫んだかと思うと、伊作は文机に走り寄った。途中にいた黒装束や俺を突き飛ばすような勢いで。
「これっ……これっ……」
伊作は自分で拵えたその包みを持って絶句した。部屋が暗いせいでよく見えないが、顔色は真っ赤なんじゃないかと思われる。
こっそり渡す筈の包みを、先に見られてしまって動揺している。
伊作の態度はそんな風に見えた。だからだろう、黒装束はにんまり笑っている。俺が悔しげに睨みつける傍で、奴は伊作を慰めるべく声をかけようとした。
しかし。それよりも早く伊作が叫んだ。
「これ、新野先生に差し上げようと思ってたのに……!」
「……新野先生……?」
黒装束が呆然と呟く脇で、俺もその名前を頭で反芻した。新野先生。忍術学園の校医にして、保健委員会の顧問。六年連続保健委員だった伊作はずっとその膝下にいた。誰よりも世話になり、かつ尊敬している先生。当然、目上だし年上だ。
日頃の感謝を込めて、伊作が気合を入れたチョコレートを送るのに相応しい相手。
いや、俺あての可能性はかなり低いと思ってたけど。俺も実は八割方、ここにいる忍び組頭あてだと思ってたのに。
あまりのことに、俺と雑渡昆奈門は目を見合わせた。
「……留三郎くん、今日は私、帰るね」
「あ、はい」
すっかり毒気を抜かれたのだろう。黒装束は力なくそう呟くと、ふっと姿を消した。
思わず、ご足労様ですと呟きかけたが、姿を消す間際、ちゃっかり伊作の文机に、懐から何か取り出して置いていったのを見てしまったので、呟きは口の中で消える。
振り向けば伊作は、まだ包みを手にしたままあわあわしていた。
「なんで忘れてたんだろう。授業終わったら医務室行く前に長屋に戻って、取りに来ようと思ってたのに。なんでうっかり……ああっ!」
再び叫ぶと、伊作は包みを放り出して頭を抱えた。
「久々知のせいだー。思いがけずチョコなんてもらったからっ!すぐに医務室に届けなきゃと思って、長屋に寄るのすっかり忘れちゃったんだ!……ああでも、久々知のせいには出来ないか。その後今までずっと忘れたままだったんだし。チョコ美味しかったし。みんなも喜んで。だけど、だけど……去年までは勇気なくて、渡せなかったけど、でも今年で最後だしと思って、頑張って用意したのにっ……!」
なんというか。
雑渡昆奈門に負けず劣らず、俺も毒気を抜かれていた。
そっか。新野先生か。
伊作はずーっと長いこと、新野先生にチョコを渡したくて、渡せなかったのか。
なんだ、そういうことか。
ああどうしよう、もう夜も遅いし今日は渡せない、でも明日はバレンタインじゃないしと、呻き続ける伊作を布団に押し込んで、ようやく長い一日が終わったのだった。
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