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前々回もだけど。やったら長く書いてましたねー^^;;
折りたたむべきだったか。

さて、懲りずに今日もネタです!

前回の、雑→伊→高の続きというかスピンオフというか。

忍術学園を卒業したものの、タソガレドキへの就職を断って、なんとなく行き場のない伊作。
そういえば、前に与四郎さんが遊びに来ない? と言ってた風魔は、毒や薬も豊富らしいし、ってなことで、伊作は風魔の里へ向かいます。

突然のことで驚かれながらも、知らない相手じゃないし、伊作が風魔から学ぶだけじゃなく伊作の知識も里にもたらしてもらおう、ということで、留学生みたいな感じで受け入れられます。
以下、そんな感じのワンシーン。
(……本当は、与四郎は訛っててほしかったのですが、神奈川弁、分からないです……orz)


「伊作さん、どうして風魔へ来たんです?」

 与四郎が伊作に尋ねたのは、初夏の夕方。咲はじめのひまわりが立ち並ぶ田んぼのあぜで、一人ぽつんと夕日を見つめる伊作をみつけて、声をかけた。

「前からちょっと気になってたんですけど。向うに心半分くらい、忘れ物してきてませんか?」
「与四郎さん……」

 忘れ物、という言い方は言いえて妙だ。にこやかな笑顔で、気を悪くした風もなく、でもずばりと聞いてくる与四郎に、伊作は少し笑みをこぼした。

「忘れ物っていうか、失恋、ですかね。好きな人に振られて、向うにちょっと居づらくなって、それでこっちへ来た、というのもあります」

「伊作さんが、振られた?……惜しいことするくのいちもいたもんですね」
「あ、くのいちじゃなくて、えと」

 なんと説明したらよいか言いよどんだ。与四郎は不思議そうな表情で首をかしげている。これはもう洗いざらいぶちまけるしかないかと、伊作は観念した。

「とあるお城に勤めている忍者の人に憧れて、いつの間にか好きになってたんです。で、別口から、その城に就職しないかと誘われたのですが、僕が好きな人にはきっぱり振られてしまったので、その城に就職するのも気まずく、それで、まあ、なんていうか、逃げてきたんですよね」

 あはは、と伊作はごまかし笑いをしてみたが、与四郎は存外真剣な表情で聞いていた。

「そっか。いろいろ辛かったんだな」
「与四郎さん……」

「ああそうだ、そういえば前に聞いたことありますよ。失恋した時に、よく聞く特効薬があるって」
「え、特効薬?」

 どんな薬ですか、と伊作が聞こうとした時、与四郎がぷっと吹き出した。

「な、何ですか?」
「伊作さんって、ほんと、薬のこと好きなんですね」
「へ?」
「だって。薬って聞いた瞬間、目の色変わりましたよ」

 え、と目を丸くする伊作に、与四郎はおなかを抱えて笑い出す。

「も、もう、からかわないで下さいよっ!」
「いやいや、からかってなんかないですよ。本当にありますから、特効薬」
「……どんな薬ですか?」

 知らず知らず真剣な面持ちになる伊作にまた吹き出しそうになりながら、笑いをこらえて与四郎は、伊作の正面に立つ。

「失恋した時の特効薬は、……新しい恋をすることですよ。俺なんてどうです?」

 自分を指さしてにっこり笑う与四郎の顔は夕日が当たって、橙色に染まっている。
 
「……え?」

 優しい目をしている。不意にそう思った。この目には見覚えがある。
 
 雑渡さんが僕を見るとき、こんな目をしていたような。

「ま、また、人のことをからかって!」

 急にそんな目で見られることがたまらなくなって、伊作は与四郎に背を向けた。なんだか頬が熱い。正面から西日が照り付けてきた。この強い、夏の日差しのせいだ。伊作はそう思うことにした。

「……もう日が沈みますね。帰りましょう。急がないと、夕飯、食いっぱぐれますよ」

 振り向いた伊作に、与四郎は手を差し出した。おずおずとその手に向かって伸ばした伊作の手を取ると、ぐいと引っ張った。

「わあっ!」

 つんのめって転びかけた伊作を抱き留めながら、与四郎は耳元にそっと呟いた。

 からかってなんかないですよ。

 そっと伊作を立たせると、与四郎は伊作の手を握ったまま、歩き出した。

「さ、帰りましょうか!」

 振り向いて笑う与四郎の笑顔に屈託はない。ただ西日に染まって真っ赤に輝いている。
 伊作はなんだか眩しいものを見るような気持ちで、その顔を眺めた。


……てな感じで。

そういえば、与四郎×伊作って書いたことないなあ。
何故かは分かってる。私に神奈川弁が書けないからだ!

やっぱりあの強烈な訛りがないと、与四郎っぽさが出ませんよねー。

うーん。キャラはともかく、そういう意味では与四郎って苦手です^^;;
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